■建築研究資料 |
No.153号(2014(平成26年)1月) |
<概要> |
アスベスト含有建材はすでに製造等が禁止され、また、吹付けアスベスト等については建築物への使用が規制されたことにより、今後の新設建築物にアスベストが使用されることはない。しかし、既存建築物においては膨大な量のアスベスト含有建材がストックされており、改修工事等における安全性の確認、安全な改修工法の確立が求められている。
アスベスト含有成形板が外装部に用いられる場合は、経年による表面塗膜のはく離や摩耗等で美観が低下するため等により塗装改修が必要となる場合がある。塗装改修においては汚れや既存塗膜の除去等の下地調整時に成形板の表面層が傷つきアスベスト繊維が飛散する恐れがあるものの、アスベスト含有成形板の下地調整時におけるアスベスト繊維の飛散性に関するデータが少ないため安全性の確保のための方策は不明であり、標準的改修方法も定まっていない。 本研究資料は、独立行政法人建築研究所における研究、さらには独立行政法人建築研究所と日本建築仕上材工業会、一般社団法人日本塗装工業会およびNPO法人住宅外装テクニカルセンターとの共同研究で実施した、アスベスト含有成形板の表面劣化度判定方法、耐久性評価方法、塗装改修工程におけるアスベスト繊維の飛散性の検討などの結果をもとに、アスベスト含有成形板の安全な塗装改修方法として、指針(案)を提示したものである。指針(案)及び解説を実験結果等の資料とともに示した。 *1 独立行政法人建築研究所 材料研究グループ・交流研究員 *2 独立行政法人建築研究所 材料研究グループ・客員研究員、芝浦工業大学工学部・教授 *3 国土交通省国土技術政策総合研究所 建築研究部・主任研究官 |
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