平成7年1月17日兵庫県南部地震では、数多くの構造物に被害が発生し、一部の建築物には倒壊あるいは層崩壊したものがみられた。神戸市北区に建設されていた免震建築物も地震を受けたが、断層から少し離れていたこともありこれらの建築物の被害は報告されていない。また、これらの建築物では地震観測がなされており、免震効果が確認された。現在、中低層の建築物では、免震構造を採用する件数が急増しているが、解決すべき技術的課題が多く残されているために、一般住宅にはまだこの技術が普及するに至っていない。
  このような状況をふまえて、建設省建築研究所と（社）建築研究振興協会との共同研究の下、免震建築物に関する有識者、住宅メーカー及び免震装置メーカーの技術者・研究者等を構成委員とする免震住宅研究委員会（委員長：（株）東京建築研究所長・山口昭一氏）を発足させ、免震住宅の性能や設計クライテリアについてまとめることとした。実施期間は、平成8年度から3年程度である。
  本建築研究資料は、免震住宅研究委員会の第一段階の活動内容を編纂したものである。すなわち、兵庫県南部地震における住宅の被害、住宅の構造的特徴と振動特性、既存の免震装置と免震建築物の特性、免震住宅に要求される性能、予備的に実施した免震住宅モデルの振動台実験に関する内容が収録されている。

*1) 企画部長
*2) 基準認証研究センター 国際基準研究官
*3) 第三研究部 基礎研究室長