建設省版景観シミュレータ・操作自習の手引き
小林 英之
建築研究資料 No.92, 1997, 建設省建築研究所
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<概要> |
本システムは、3次元CGシステムに、景観検討の実務に必要な諸機能を作り込んだシステム・ソフトウェアです。フル3次元では、任意視点からの景観検討が可能であり、可視範囲解析等の先進の機能を実現しました。土木・建築・都市計画を適用分野としており、3種類の景観データベースに収録されたデータを組み合せてすばやく景観を構築することができます。3次元CG技術をベースとして、簡便な写真合成の機能も含め、幾何学的に正確な写真合成を可能としました。テクスチャ・マッピングにより材質感を再現すると同時に、色彩・鏡面反射率・テクスチャを経年別に定義できるマテリアルにより、時間と共に熟成したり劣化する質感を記述することを可能としています。
前述の通り、本システムは国費で開発したフリーウェアです。ゼロ・ベースで開発したために、再配布等は、ライセンス上の制約なしに、無償・無断で行うことが可能です。但し、知的所有権はあくまで建設省に所属しているので、何ら付加価値のないデッドコピーを有償で販売することについては、制約を設けています。無償であることが、合法コピーの条件です。
グラフィックス処理にOpenGLを採用し、基本的な処理をANSI-Cに従って記述した共通ライブラリとしてまとめ、今後の機種・OSの栄枯盛衰に対応した移植性の確保を図っています。マルチ・プラットフォームとして、現在は、後述の機種で実装しています
データ形式、内部処理について公開性が高く、本システムをベースとして機能を拡張していくことは容易です。現在、官民共同研究によりデータ作成を支援する機能を開発したり、別プロジェクトで、景観シミュレータを出力装置として位置づけた社会現象・都市現象のシミュレーションの機能を開発しつつあります。このことを支援するために、現在、データ形式、内部処理ライブラリ関数等について詳述した技術資料のとりまとめを進めています。
外国語への移植性についても、メッセージを集約する等の方法で対応しており、日韓科学技術協定に基づき、現在までにVer.2.02までの韓国語(ハングル)への移植が完了しています。
建設省建築研究所
第六研究部都市開発研究室長
小 林 英 之
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