■建築研究資料

住宅を対象とした免震構法技術の開発
−免震住宅設計ガイドライン(案)−

免震住宅研究委員会

建築研究資料  No.94,  2000,  建設省建築研究所


<概要>

 平成7年(1995年)1月17日兵庫県南部地震では、数多くの建築物に被害が発生した。この地震被害を受けて、免震建築物に対する一般の関心が高まり、現在、中低層の建築物では、免震構造を採用する件数が急増している。しかし、解決すべき技術上の課題が多く残されているために、一般住宅には未だこの技術が普及するまでには至っていない。

 このような背景の下、建設省建築研究所と(社)建築研究振興協会との共同研究として、免震建築物に関する有識者、住宅メーカー及び免震装置メーカーの技術者・研究者等を構成委員とする免震住宅研究委員会(委員長:東京建築研究所長・山口昭一氏)を発足させ、平成7年度から3年余りにわたり、免震住宅の性能や設計クライテリアについて検討を重ねてきた。
 本建築研究資料は、免震住宅研究委員会の最終成果物として提案された「免震住宅設計ガイドライン(案)・同資料編」である。
 本ガイドラインは、免震住宅を設計する際の指針を与えるものであり、動的な考え方とともに性能設計の考え方を取り入れ、以下に示す基本方針のもとに作成されている。

(1)免震住宅の目標耐震性能を設定する際に、上部構造、免震装置、基礎構造、非構
  造部材、室内安全性について耐震性能クラスを設け、その上で、3段階の入力地震
  動に対して耐震性能を表現する。
(2)耐震安全性の検討において、免震住宅の上部構造と免震装置については、全体
  系としての地震応答解析を行う。
(3)耐風安全性の検討においては、静的解析を行う。その際、免震装置の変形が限界
  変形を超える場合には、変形を制御する対策を施す。また、日常的風速に対する
  居住性の検討においては、必要に応じて風応答解析を行い、居住性に支障がある
  場合には、適切な対策を施す。

 資料編には、ガイドラインの内容を理解する上で参考となる技術上の資料が収録されている。
 なお、本研究の中間成果は、建築研究資料 No.89「住宅を対象とした免震構法技術の開発−免震住宅の性能評価に向けての既往成果の整理と住宅モデルの振動台実験−」(平成9年3月)として出版されているので参照されたい。


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