■建築研究報告

不燃住宅の構造合理化に関する研究、帳壁構造の機能に関する研究

住宅構造実験研究委員会

建築研究報告  No.28,  1958  建設省建築研究所


<概要>

  この報告書は建設省住宅局の委託によって昭和32年度に行った不燃住宅構造関係の主として実験的研究を収録したものである。
  当研究所ではかねて住宅局からの委託研究費によって不燃住宅構造に関する種々の研究を続けてきたが、昭和32年に取扱った課題は主体構造と帳壁の機能の二つに大別することができる。
  この主体構造に関する研究の一つは軽量鉄骨造に関するものであって、最近普及をみつつあるライトゲージ・スチールによる構造について、まず接合部の剛性を実験的に検討したものであり、また耐震壁の分布に関する研究は鉄筋コンクリート造建物の壁量・壁の配置と耐震性に関する研究で、壁量と地震被害との関係について調査したものと壁率の異なる実在建物の振動特性を固有周期から検討した結果を併せて報告し、さらに模型による実験結果の一部を報告した。
  つぎに帳壁の機能に関する研究は、壁体の防火性と室内環境に直接影響する壁体の熱的性質と遮音性に関する3項目を含み、いずれも国民住宅の実状に即した各種壁体について実験的研究を行ったものである。この内、防火性と遮音性については前回の継続研究で、帳壁の機能については最近の材料工法の進歩によってなお今後に多くの問題を残しているが、ひとまず現段階において一応設計の指針として利用されるべきものであると思う。
  以上の研究は、住宅局の要望に添って応用技術を重視して総合的に研究を推進するため、所内では各研究部から関係研究員が参加して住宅構造実験研究委員会を設け、これらの研究の調整と促進については特に久田第3研究部長を煩わせて所期の成果を挙げることができた。
  しかし、これらの研究の一部はさらに研究を継続して完璧を期する必要があり、今後とも関係各方面のご叱正とご助言を得たい。最後に研究費を提供された本省住宅局に対して厚く謝意を表す。
昭和33年9月
建設省建築研究所長

工学博士  竹山謙三郎

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