■建築研究報告 |
不燃住宅の構造合理化に関する研究(第3報) 建設省建築研究所住宅構造実験研究委員会 |
<概要> |
この報告書は建設省住宅局の委託によって昭和34年度に行った不燃住宅構造関係の実験的研究を収録したものである。 その目的とするところは、住宅建設における不燃化および工業化を目標として新しい構造方式を案出し育成発展させるために、設計上の指針を実験によって求めることにあった。この趣旨にそって、昭和34年度に取り扱った課題は次の3項目である。 第1は木造住宅にかわる簡易な平家建不燃構造として独立戸境壁をコンクリートの既製版をもって構成する構造を採り上げ、その問題点である接合法についてドライブリベット、ボルト、PC鋼棒による方法を採り上げ、各々について実験を行ってその適否を求めたものである。 第2は組立式簡易耐火構造に関するもので、軽量鉄骨を枠として不燃版を用いてパネルを製作し、その強度的・熱的性質を実験するとともにその取付構法についても研究し、また試作パネルを実際の建物の一部に施工して種々の問題を摘出したものである。 第3は耐火構造壁体の耐火性能と遮音性能について実験を行ったものである。すなわち、前者については軽量鉄骨を用いた整体およびプレキャスト版を対象として実験を行い、後者については軽量鉄骨を用いた壁体およびそのパネル充素材を対象として実験を行うとともに理論的解析を加えたものである。 以上の研究については、住宅局の要望にそって応用技術を重視して総合的に研究を推進するため、所内に各研究部から関係研究員が参加した住宅構造実験研究委員会を設け、これらの研究の調整と促進についてはとくに久田第3研究部長を煩わせて所期の成果を挙げることができた。 しかし、これらの研究は建築生産の工業化という新しいかつ重要な課題の解決に寄与するものと考えられるが、なおその一部には将来さらにこれを継続する必要があるものもあり、本報告に対して関係各方面のご意見、ご助言をお願いしたい。最後に、研究費を提供された本省住宅局に対して厚く謝意を表す。昭和36年2月 |