■建築研究報告 |
原子力関係施設の表面仕上げ材料に関する研究 伊藤和男, 内野昌子 建築研究報告 No.72, 1976 建設省建築研究所 |
<概要> |
我国では、放射性物質や放射線発生装置を使用する場合には、使用の許可の要件として法律(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律)で定められた基準を満たす施設を有し、かつ法律で定められた使用方法にしたがうことが要求される。すなわち、「施設」と「使用方法」とを規制することによって放射線障害の防止をはかることになっている。ことに非密封状態の放射性物質を取り扱う施設では、場合によっては放射性物質による空気汚染、水汚染、表面汚染などの好ましくない事態を生ずるおそれがあると考えられるので、施設の立地条件、主要構造部、汚染空気・汚染水の浄化設備はもとより施設内の表面仕上げにいたるまで法律の規制をうける。したがって、施設設計上の問題解決および安全対策を講ずる上で建築工学が果たすべき役割はきわめて大きい。 本研究は、上に述べた3つの放射性汚染形態のうちのひとつである表面汚染の問題をとりあげ、放射性物質に最も曝され易い建築部位である壁や床に用いられる国産の表面仕上材料の耐放射能汚染性、耐酸・耐アルカリ性および耐放射線性に関する試験を行い、原子力関係施設における表面仕上材料の使用上の指針を得ることを目的としている。 |